認識の違いなどから生じる問題
介護職と看護職が対立しやすい理由
介護現場はチームで協力することが何より大切ですが、職種が違う人同士の対立関係が問題になることがあります。その中でも目立つのが、介護職と看護職の対立です。
この対立の背景には、介護職よりも看護職の方が立場が上であるという間違った意識があるものと思われます。すべての看護職に該当するわけではないにしろ、一部の看護職は介護職に対して高圧的な態度をとってしまうことがあります。看護職は医療に関する専門知識を持っており、医療行為を行うことができるという点が介護士よりも優れていると考えにつながってしまうようです。患者の治療を行う医療現場で働いてきた看護職と、要介護者の日常生活を支える現場で働いてきた介護職では視点が少し違うというところも、対立を引き起こすひとつの要因となっています。また、収入面での格差が対立意識を駆り立ててしまうこともあります。看護職の方が介護士よりも年収が大幅に上回っていることが、介護職の反発を招いてしまうのです。看護職よりもハードな仕事をしても待遇が改善しないことから、看護職の些細な言動が気になってしまう場合もあります。
介護職と機能訓練指導員との対立もある
リハビリを担当する機能訓練指導員と介護職が対立する理由は、双方のコミュニケーション不足に人手不足が重なっている場合が少なくありません。自分の業務だけで精一杯な忙しさの中で情報を共有することが難しく、利用者がどのようなリハビリを受けているのか、そのリハビリがなぜ必要なのかについての情報がない介護職と、利用者がどのような介護を必要としていて、どのような日常生活を送っているか正確に把握していない機能訓練指導員が対立してしまうのです。
介護職がリハビリの現場を理解しようとしないとリハビリ担当者が感じている場合、情報共有はとても難しいものになってしまいます。申し送りをしても聞き流されてしまったり、不機嫌な対応をされてしまったりと、介護職側の姿勢に問題がある場合も少なくありません。双方の意見が対立する主な理由は、コミュニケーション不足や管理職の不十分な管理にあるかもしれません。しかし、リハビリを担当する機能訓練指導員側のリハビリスタイルが問題となることもあります。介護施設以外の施設でリハビリ指導をしていた人が、介護施設には不向きなメニューを導入している場合などがそうです。介護職と看護職の対立にも同じく、治療目線なのか介護目線なのかの違いがそのまま双方の職種の対立になってしまうのです。介護現場において重視すべきは利用者の生活であるという認識をまず共有することが、他の職種との対立を防ぐために欠かせません。